【同一労働同一賃金とは】職能給が色濃い企業は課題も多く問題点も！

2月23日に、一億総活躍国民会議にて「同一労働同一賃金」の実現に向けた議論が始まりました。

しかし一体、同一労働同一賃金とはなんぞや？

ということで、同一労働同一賃金について調べてみました。

同一労働同一賃金とは

同一労働同一賃金とは、同一の仕事に従事する労働者は皆、

• 性別
• 雇用形態（パート、派遣社員など）
• 人種
• 宗教
• 国籍

などに関係なく、労働の種類と量に基づいて賃金を支払う賃金政策のことです。

要は、正社員もパートも同じ仕事をしているなら、同じ賃金を支払ういうことですね。

ここだけ聞くと、パートが優遇される制度のように感じますが実際はどうなんでしょうか。

イケア・ジャパンも導入

家具販売店のイケア・ジャパンも、2014年9月から同一労働同一賃金を導入しています。

イケア・ジャパンは、正社員の時間あたりの賃金を割り出し、正社員と同じ仕事をする非正規社員の時給を正社員と同水準に引き上げ、雇用契約期間も、原則半年から無期に変更し、65歳の定年まで働けるようにしました。

また、賃金は同一労働同一賃金を基本に、成果も加味して決められています。

その結果、

• 非正規社員にも責任感を持たせることができた
• 短時間勤務の人にも仕事を頼みやすくなった
• 仕事の処理速度が上がった

などの成果があったそうです。

同一労働同一賃金の問題点

しかし、同一労働同一賃金はメリットだけではなく、導入にあたって様々な問題点があります。

扶養から外れてしまう

先程紹介したイケア・ジャパンですが、同一労働同一賃金を導入するにあたり、所得が増えて夫の扶養家族から外れてしまい、社会保険料負担などが増えることを敬遠し、離職した方もいたそうです。

日本は職務区分が明確で無い

欧州では、従業員一人一人の仕事の範囲が明確なため、同一労働同一賃金を導入しやすい傾向にあります。

しかし、日本企業の正社員は、忙しい時は他の仕事も手伝ったりと幅広い業務をこなす為、職務区分が明確で無いケースが多く、正社員とパート社員など非正規社員の賃金の比較が困難です。

年功序列が一般的

日本の企業は、担当する業務内容で処遇を決める職務給ではなく、勤続年数をベースに処遇を決める職能給（年功序列制度）が一般的です。

年功序列制度は、子供の養育費や生活費がかさむ、中年以降に所得が増えるなどのメリットも多いため、同一労働同一賃金を導入となると反発も強いでしょうね。

非正規社員に責任がとれる？

イケア・ジャパンでは、正社員と非正規社員の時間あたりの賃金を同じにすることで、責任も同等だという考えが浸透してきたそうです。

非正規社員の方にも、責任感を持ってもらうのは非常にいいことですが、何かトラブルがあったときに、非正規社員のミスであっても責任をとるのは正社員ですよね。

となれば、賃金は同じなのに責任は正社員が負わないといけないとなると、正社員の不満が募るんではないかなと思います。

関連記事：正社員とパートの責任の違い

同一労働同一賃金 まとめ

結局のところ、外資系企業ならともかく日本の企業では、同一労働同一賃金制度導入は現状では難しいんじゃないでしょうか。

業務が幅広く不明瞭なので、一人一人の仕事の範囲をもっと明確にすれば、同一労働同一賃金の導入はもとより、どの仕事をしなければならないのか、どの仕事はしなくていいのかはっきりして、仕事の負荷状態も把握でき、残業時間短縮にもつながるんではないでしょうか。

また、正社員が責任を負わなければならないのであれば、同じ仕事をしていたとしても、正社員と非正規社員の賃金を差別化しても、問題はない気がしますね。

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